2015年10月16日
以前に三色の縦ぼかしの着物を制作した際に、モダンな雰囲気のお洒落な着物に仕上がり、又そのようなお着物を制作したいという思いがありました。ただ、全く同じ物を作るのも面白味がないので、絞りで同じ様な図案で制作すると、どういった風合いや雰囲気の違いが出てくるのだろうというきっかけで、この着物作りが始まりました。
生地には、地模様が立体的に浮き立つ三寿織りの生地を選びました。
一般的に考えても三丈一尺以上ある生地を縦にまっすぐ絞る事は大変難しく、時間のかかる作業です。それに加えて私たちが選んだ三寿織の生地は、生地の風合いはとてもいいのですが、かなり地厚になる為、どのように仕上がるのか。又、私たちが制作したい三色と、絞るにあたって出来る色バランス、出来ない色バランスについても話し合いを重ねました。
それによって、雰囲気のあるグリーンベースの三色に決定し、絞っていく事となりました。
地模様がくっきりと立体的にでる生地を選んで三色の色を絞ることによって、単調な三色縞にはならなかったのですが、“きもの白”らしさを出すには、もう一歩何かが欲しい!!と言う事で、箔で模様を飛ばすことにしました。
模様は、色々なパターンを検討した結果、唐草模様に。大きさは大小取り混ぜること。配置については詰まり過ぎず、空き過ぎず、お仕立てした際にバランスよく出るように。と決定していきました。そして、箔の色にもこだわり、何色かの金箔を染め上った生地の上に置き、目立ちすぎず、地色に埋没しない上品な金箔を選びました。
少し寒さの出てくる秋の終わりから冬にかけてお召いただく袷のお着物にぴったりです。もちろん帯の色合わせによって、秋口、春先も素敵にお召いただけます。
大胆なコートが欲しいとお考えの方には、コートとしてお仕立てさせて頂いても、お洒落に楽しんで頂けます。